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なぜ月面探査レースに参戦するのか?HAKUTOとKDDIのリーダーが語る挑戦の美学

2016.03.29

TEAM HAKUTO代表 袴田武史

1979年生まれ。米ジョージア工科大学大学院で修士号(Aerospace Engineering)を取得後、経営コンサルティング会社を経て、2010年から民間月面ロボット探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本唯一のチーム「HAKUTO」を率い参戦中。運営母体であるispace社のCEOとして、月面資源開発を展開している。

KDDI株式会社 代表取締役社長 田中孝司

1957年生まれ。1981年に京都大学大学院工学研究科電気工学第2専攻を修了し、国際電信電話(現KDDI)に入社。1985年、米スタンフォード大学大学院電子工学専攻を修了。2003年に執行役員、2007年に取締役執行役員常務、2010年代表取締役執行役員専務を経て、2010年12月より現職。

月面でのロボット探査を競う国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」に、日本から唯一参加するチーム「HAKUTO」。そのプロジェクトに新たなサポート企業として名乗りを上げたのが、KDDIである。かつてから衛星通信事業に深く関わってきたKDDIは、どのようにしてHAKUTOを支援していこうとしているのか。そして、HAKUTOのプロジェクトを通して、どのような社会を実現したいと思っているのか。KDDI株式会社 代表取締役社長の田中孝司とTEAM HAKUTO 代表の袴田武史に話を聞いた。

「アポロ計画」のように、HAKUTOがきっかけで宇宙に興味を持ってもらいたい

− 田中社長は、HAKUTOの取り組みを知ったとき、どのように感じましたか?

田中:「なんて夢がある挑戦なんだ」と思いました。私は大学院で電気工学を専攻していた技術畑の人間なので、元技術屋として単純にワクワクしたのです。支援の依頼をいただいて、ビビビッときました。もちろん、企業なので稟議などもろもろの手続きがあるのですが、私のなかでは即決でした(笑)。

袴田:ありがとうございます。KDDIさんからの支援の知らせをいただいたとき、実は体調が悪くて早めに家に帰ろうとしていたんです。でも、事務所から出ようとした瞬間、スタッフに呼び止められ、「KDDIさんの支援が決まりました!」と報告を受けて、あまりのうれしさに体調が悪いことも忘れてしまいましたね(笑)。KDDIさんにサポートしていただけることになり、とても心強く思っています。

田中:そう言っていただけると、我々としてもうれしいです。私の世代は、子どものときに「アポロ計画」を見て育ちました。テレビ中継も見ていましたよ。月面着陸の際、宇宙飛行士とテキサス州ヒューストンにある管制センターとのやりとりが聞こえてくる。少し遅れて、通訳の声が入ってくる。アメリカのみならず、日本中の人がテレビの画面に釘づけになっていました。私の世代は誰でも宇宙に対して憧れを抱いているのではないでしょうか。

袴田:HAKUTOで開発リーダーを務めている東北大学 大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻の吉田和哉教授も「アポロ計画」に大きな影響を受けたとおっしゃっていました。アポロ11号が月面着陸した映像を見たことが、宇宙に関係する仕事をしたいと思ったきっかけだったそうです。田中社長や吉田教授が「アポロ計画」に影響を受けたように、HAKUTOのプロジェクトがきっかけになって宇宙に興味を持ってくれる人が増えてくれれば、うれしいですね。

田中:HAKUTOさんのプロジェクトに興味を持ったのは、当社が衛星通信事業に深く関わっていることも関係しています。1963年11月23日、KDD茨城宇宙通信実験所で、日本初の衛星通信によるテレビ中継の実験が行われました。そこでアメリカから放送されたのが、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺のニュースだったのです。なんとも悲しい偶然ですね。当時、国際テレビ中継をするには、海底ケーブルではなくて衛星でしたから、社内にはまだまだ研究所を中心に、衛星や宇宙に対する探究心や憧れを持っている人材がたくさんいます。あれから50年以上経ったいま、新たな宇宙への挑戦を支援するのは、当社としても意義深いものがあります。

− 会社の歴史を紐解いても、今回のプロジェクトに共感する部分が多いということですね。

田中:そうですね。これは後づけですが、当社のテレビCM「三太郎シリーズ」では、かぐちゃん(かぐや姫)が月から来たことになっていますから、ここともつながっていますよね(笑)。それはそうとして、個人としても非常にワクワクするプロジェクトですので、袴田さんを心から尊敬しますし、精一杯応援していきたいと思っています。

夢があると、人はドライブしていくもの。
リーダー自身が強い想いを持つことが何よりも大切
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