auの思い

私たちの挑戦が未来を豊かにする。KDDI研究所長が語る「創造への挑戦」(前編)

2016.06.01

HAKUTOの活動をこれまで培ってきた通信技術を中心に全面的にサポートするKDDI。その技術研究が行われているのがKDDI研究所だ。これまでのKDDIの技術を支え、最先端の未来技術を紡ぎ出すKDDI研究所のトップを務める中島康之代表取締役所長に、KDDIが担う使命、そしてHAKUTOプロジェクトへの思いを直撃した。

テレビCMで再現された「電波無響室」を持つKDDI研究所とは?

au×HAKUTO MOON CHALLENGEのテレビCM「実験室編」。ゴールデンタイムにも放映されていたので、すでにご覧になった方も多いかもしれない。ステンレスのボックスから現れたローバー(月面探査ロボット)が、ゆっくりと走り始める。

HAKUTO代表の袴田氏が「月へと歩みを進める私たちの姿勢を具現化してくれた」と評したその映像のなかで、ひときわ印象的だったのは、無数の突起物に囲われ、近未来的な雰囲気を醸し出す撮影セット。これは、埼玉県ふじみ野市に拠点を構えるKDDI研究所内にある「電波無響室」を再現したものだ。そして、その研究所の所長を務めるのが中島康之氏である。

KDDI研究所は300人程度の職員を抱える、KDDIの研究開発拠点。新たな情報通信技術の調査・研究開発、コンサルティングなどを行っている。中島所長は、「プラットフォーム系技術、例えば、固定通信・移動通信・放送の融合や次世代ネットワークや超高速無線伝送技術、セキュリティ、アプリケーション、ビックデータマイニングの技術などを研究開発しているところです」と説明してくれた。

電波無響室とローバー

「KDDI研究所のビジョンは『創造への挑戦』。新しいことにどんどんチャレンジしていこうという意味でも、au×HAKUTO MOON CHALLENGEは私たちにピッタリだと思います」と笑顔で語り続けた。

世界初の衛星通信による日米間テレビ中継を実現

「創造への挑戦」は、その歴史から一目瞭然だ。「古くは、1964年に開通した太平洋を横断する初の海底同軸ケーブル『TPC-1』の敷設。そして、いまでは当たり前のように使われているFAXは、NTTとKDDIが共同で国際標準化し、その結果、世界規模での普及に結びついたものです。また、京セラとKDDIで共同開発した、ディスプレイ部を振動させることで雑音の多い環境でもクリアな音声を伝える『スマートソニックレシーバー』は、いまでは京セラ製スマートフォンに採用されています」と中島所長。

KDDI研究所 中島所長

最近では、AR画像を視線の先に表示する透過型スマートグラス用ソフトウェアを開発したり、40GHz帯/60GHz帯協調による次世代高速ワイヤレスアクセスネットワークや人工知能を活用したネットワーク自動運用システムを構築するなど、いずれも世界初の事例を成功させている。

次々と私たちの生活を変える技術を生み出すKDDI研究所だが、その研究所から技術提供を受けるHAKUTOとして特に注目すべき技術は、「世界で初めて衛星による日米間テレビ中継を実現したこと」だろう。

「もともとKDDI研究所は、1953年に国際電信電話株式会社の研究部として発足した組織でした。当時、海外との通信は海底ケーブル(同軸ケーブル)と無線通信(短波通信)でしたが、1960年代には衛星通信が加わることになります。今回、KDDIがHAKUTOに提供する無線通信技術は、60年以上に及ぶ実積のたまものです。先の衛星による日米間テレビ中継に関しては、世界的にも最も権威のある米国電気電子学会からマイルストーン賞をいただいており、KDDIの技術が世界的に高い評価を得ている証拠といってもいいでしょう」と、研究所としての自信を中島所長は語る。

1964年6月19日、第一太平洋横断海底ケーブル
「TPC-1」による初の日米通話
(資料:KDDI研究所 提供)

誰も検証したことがない月面での電波伝搬に挑戦

宇宙にまつわる背景は持っていたものの、最初に「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」の内容を伝えられたときには、「なぜKDDIがやるのか?」と驚いたという。

「衛星通信技術を持っているので、宇宙にまつわるお話をいただくことはあります。しかし、いきなり月とは......。しかも、NASAのような国家機関や、ボーイング社のような航空系企業ではなく民間団体がやるとのこと。びっくりして、のけぞりそうになりましたね(笑)」

しかし、中島所長は技術畑出身。技術者としてのワクワクがまさり、結果的には「最高に肯定的」といった感想に至ったという。そしてそれは、研究所員も同じだった。

「月面上における電波の伝搬環境なんて、誰も検証をしたことがない世界。だからこそ、担当者もワクワクしているようです。実は、このプロジェクトは当初、極秘プロジェクトで進めていたんです。正式に発表後、所員から『おぉー』と歓声が上がって、担当者も『あのプロジェクトやっているんだ』と声を掛けてもらう機会が増えたみたいで。HAKUTOのような壮大な計画をKDDI研究所の技術でサポートできることが所員のモチベーション向上にもつながっています」

各分野のエキスパートも自信と不安が入り交じる、
KDDI研究所の二つのミッション
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