サカナクション

サカナクション・山口一郎×HAKUTO袴田武史の「宇宙おでん対談」、CM撮影ウラ話

2016.10.18

テレビCM「僕らはみんな宇宙兄弟だ」篇。「未来に嫉妬したい」という山口さんの名言が生まれたおでん屋のシーンが印象に残っていますが、実は台本なしのフリートークだったんです。二人のプライベートにまで話が及んだ約30分の全会話を、特別公開します。

袴田:伝統ある業界こそ、新しい取り組みが成果を出せると僕は思うんです。

山口:じゃあ、まず乾杯しましょうか。

二人:乾杯!

山口:おでん頼みましょうか!何がありますか?

店主:ちくわぶ、玉子、大根、ちくわ…

山口:じゃあ、ちくわと玉子。

袴田:大根も。

店主:はい、お待ちです。

山口:おでん。うまそう。

袴田:おいしい。

山口:ほんとだ。うまい。

山口:そう。最初は音楽だけと聞いていたので、まさか、僕がCMに出ることになるとは思ってもみなかったです。

袴田:僕もです(笑)

山口:こうして袴田さんご自身も出演してCM撮影してると、いよいよって感じですね。あ、そうだ。ロケットって、音ものすごいんですよね。

袴田:音すごいと思います。

山口:だって、あんなでっかいのが飛ぶんですよね。

袴田:ロケットの打ち上げは音が違うと。あれを聴くと人生観が変わると。

山口:僕、見に行けるかな。

袴田:いや、行きましょうよ。

山口:行っていいすか。

袴田:もちろん。釣りもできますよ、たぶん。

山口:お!いいですね!打ち上げは2017年でしたよね?

袴田:17年ですね。

山口:行きたいなぁ。でも、僕が所属してるビクターエンタテインメントって、もう本当にブラック企業なんですよ(笑)。ここ休みにしようかなと思って空けとくと、すぐ取材だのなんだの詰め込んできて…。愚痴聞いてもらえます?

袴田:どうぞ(笑)

山口:朝10時から始まるとするでしょ。で、取材、取材、取材、取材、取材、取材でご飯タイムが入ってないんです。1時間取材して5分休憩。1時間あって5分休憩みたいな。

袴田:すごい。

山口:せめてご飯の時間は入れてくださいと。そしたら「分かった、分かりましたよ」みたいになって持ってきたのがコンビニのサンドウィッチ1個という……。

袴田:サンドウィッチは5分で食べれますね。

山口:そう。5分で食えと(笑)。で。気をきかせて取材の方がお土産を持ってくれたりすることもあるんですよ。すると、それは、すぐパッと持ってっちゃう(笑)

袴田:山口さんには、出してくれないんですか?

山口:出さない。出さない。

袴田:(笑)

山口:つらい。もう早く独立したくて(笑)

袴田:(笑)

山口:そういうとき、袴田さんが宇宙事業で新しい波を起こそうとしてるように、僕も音楽シーンで新しいシステムをつくりたいって思っちゃう。簡単なことじゃないとは思うけど。

袴田:伝統ある業界こそ新しい取り組みが成果を出せると僕は思うんです。

山口:宇宙事業ってそんなに古い?

袴田:旧ソ連のスプートニク1号が飛んだのが1957年だから、少なくとも50年はあるんじゃないですかね。

山口:へえ。僕らが頑張んなきゃいけないですね。

袴田:そうですね。

山口:怖いですね。知らないってことは。でも行ってみたいな、月。

山口:月を玉子とすると…。

袴田:はい。月ですね。

山口:こう、月と地球の距離ってどれぐらいなんですか。

袴田:384,400kmです。

山口:ロケット(ちくわ)がこう、月に向かっていく。

袴田:地球からロケットがわーっと打ち上げる。われわれが乗る予定のアストロボティックの宇宙船は、地球を周回して。

山口:地球を周回?

袴田:はい。地球を周回して、大きな軌道に入ってくんです。月から離れて、一度遠く行くんですけど、その方がエネルギー的に効率がよく、燃料が少なくて済むんです。

山口:遠回りして月に着陸するんだ!

袴田:はい。そうなります。

山口:逆に、着陸する原理って?

袴田:最初は月の周りを回って、目標のポイントに着陸できるようタイミングを待ちます。そしてロケット燃料を噴射して、減速。月に近づいていく。かなり減速して、最後は、横に入っていくんですけど、調整しながら、こう、着陸する。

山口:じゃあ、ゆっくり月に降りる感じなんですか?ドーンじゃなくて。

袴田:それが結構速いんです、やっぱり落ちていくので。ただ、落下するのではなく、落ちるスピードを緩めるために逆噴射しながら降りていきます。

山口:なるほど。でも着陸する姿は地球から見ることができないんですもんね。

袴田:着陸船のカメラからは撮れる筈ですけど、たぶん月の砂が巻き上がってる風景しか撮れないと思います。

山口:重力は地球の6分の1でしたよね。

袴田:はい。6分の1。月面はレゴリスという凄く細かい砂で覆われていて、それが、ふわって浮きやすいんです。重力も地球の6分の1なので、レゴリスはしばらく浮いている状態が予想されます。地球みたいに砂が舞い上がってすぐに下りずに、しばらく漂ってる。

山口:レゴリスって、機械に入り込んだりしないんですか?

袴田:アポロ時代、いろいろと問題が起こったようです。当時は、対策を月に行ってからやっていたのですが。

山口:初めてで何も分からなかったから?

袴田:そう。

山口:そっかそっか。

袴田:アポロで着陸して、月面に降り立った宇宙飛行士の宇宙服に大量の細かいパウダー状のレゴリスが付着して、それが取れなかった。レゴリスってとげとげしてるんですね。

山口:え、地球の砂と違うんですか。

袴田:違うんです。地球では砂は風に吹かれて転がったりするので、周りが削れて丸くなるんです。月は風がないので、丸くならず、とげとげのままになっていて、その宇宙服を脱いだときに、間違って吸い込んだりすると、肺に穴があいたりしてしまって、危なかったという話です。

山口:怖いですね。知らないってことは。

袴田:そうですね。

山口:でも行ってみたいな、月。

袴田:月に普通の人が旅行で行けるようになる。そういう世界の実現を早めるのが、我々の仕事かなと思っています。

袴田:ここ1、2年でできるわけじゃないですけど、たぶん5年、10年たてば、また人間が月に降り立つことになると思いますし、まあ、それからさらに5年とか10年たてば、さらに多くの人が宇宙、そして月に降りたっていくと思うんですよね。

山口:月に普通の人が旅行で行けるようになるのって何年後ぐらいですかね。予想では。袴田予想で。

袴田:かなり楽観的かもしれないですけど、まあ20年、30年ぐらいで、そういった世界になるんじゃないかなと。

山口:え、じゃあ、僕ら生きてる間?

袴田:生きてます。

山口:はあ。行きたいな。

袴田:そういう世界の実現を早めるのが、我々の仕事かなと思っています。

山口:少し知るだけでも、宇宙に対する可能性を気付いてほしくなりますね。

袴田:多くの人にとって、これから宇宙は重要な場所になると思うので。

山口:せめて、宇宙でこの人に曲を作らせようっていう選考委員には入ってたいね(笑)

山口:宇宙っていうか月で、初めて音楽作る人ってどんな人なんですかね。

袴田:それ山口さんじゃないですか。

山口:やってみたいね。行けるなら行ってみたいっすね。

袴田:やりましょうよ。

山口:おお、やってみたいな。でも、行けるかな。

袴田:いや、行けますよ。まず宇宙は行けますね。月はまだ少し時間かかりますけど。

山口:せめて、宇宙でこの人に曲を作らせようっていう選考委員には入ってたいね(笑)。この人にしようよ、みたいな。

袴田:山口さんが行ってください(笑)

山口:いや、僕はハブの世代だから、引き継ぐ世代(笑)。自分ができなくてもね。でもやっぱ、未来に嫉妬したいですよね。諦めながらじゃなく自分たちが関わって、そういう未来つくれたらいいな。

袴田:かっこいいですね。

山口:自分の孫の世代が、素直に自分がうらやましいって言える未来にしたいですね。僕、もうちょっと食べようかな。じゃあ、こんにゃくと…

店主:はい。

山口:えーと、あと、白滝。こんにゃくコンビでいこうかな。

袴田:うまいですよね。おでん。日本酒ももらいます?

山口:うん。日本酒ももらえますか、マスター。マスターじゃないな。どう言うんだろう、屋台って。おじさんでいいのかな。

袴田:(笑)

山口:いや、外で飲むお酒、うまいすね。

袴田:少し涼しくなってきて、ちょうどいい。

山口:撮影とか忘れちゃいますね。。

監督:1回カットします。

山口:これ、おでん盛り上がりますね(笑)

監督:ちょっとチェックします。

袴田:まだまだ撮ってもいいですね。

山口:全然いい(笑)

山口:変わりましたね、母親になって。それはいい意味で。人間なんだな。バンドって人生なんだなと思った。

山口:ムカつく奴います?

袴田:ムカつく奴ですか。うーん。あんまりいないですね。

山口:大人っすね。

袴田:前職のときも「袴田さんって怒らないですね」って言われていて。怒るって多分ですけど、自分が思い描いたとおりに人が動かなかったとき、他人のせいにしがちだと思うんですよね。自分の場合は、他人のせいにしない。そうするとなんか別に怒る気はなくなって。自分が影響力を与えられなかった、自分自身のミスだろうというふうに思うようにしてるというか、思いこむんです。

山口:大人ですね。

袴田:いえいえ。

山口:どう思います、マスター。

店主:大したもんだね。

袴田:いやいやいや。

山口:僕はやっぱり、そうね。メンバー怒ることありますけど、自分が変われば良かったって思えるかな。人を変えるより自分が変わるほうが楽ですもんね。

袴田:だと思うんです。僕は。

山口:HAKUTOのメンバーはどうですか。みんな仲いいんですか。

袴田:仲いいと思いますよ。活動終わったあとに飲みに行くとか。自分も最初の頃は、結構な頻度で朝まで飲みに行っていました。

山口:(笑)。いいですね。そういう仲間の力ってありますよね。団結感とかもね。うん。

袴田:1人じゃ何も、何もというか、多くのことはできないですし、仲間がいることで自分じゃできない能力を持った人にサポートしてもらったり。自分ができることでも、自分1人じゃ足りないこともあるので。

山口:僕もこの間お会いしましたけど、なんか仲間って感じしますよね、フランクだし。

袴田:HAKUTOが全然盛り上がってないときに参加してた人も多いので、その苦しみを一緒に味わってるメンバーなので仲間意識があるのかもしれません。逆に、盛り上がってから入ってくれた人たちは違った感覚を持っていて、それはそれでいいですけどね。

山口:バンドみたいですね。バンドもやっぱりこう何もないところから集まって、一緒にのぼっていく。

袴田:初期のファンと、途中のファン、そして今のファンって、違いあったりするんですか。

山口:もちろんあります。僕ら、音楽作るとき、ステージから見た景色に対して作るんですよ。だからキャパシティーが300だと、その300人に向けて作るし。1,000になると1,000に向けるし、1万になると1万に向けるし。で、それが今度メディアに乗って何百万になると、その何百万人に向けて作るっていう意識も出てくるし。だから生まれるものがどんどん変わっていきますね。バンドメンバー自身も変わっていきますしね。

袴田:それは人単位っていうことですか。

山口:そうそうそうそう。うちメンバー女の子2人いるんですよ。で、最近1人結婚して、あかちゃんが生まれたんです。

袴田:おめでとうございます。

山口:ありがとうございます。でね、変わんないかなと思ったけど、しっかり変わりましたね、母親になって。そう。変わった。それはいい意味で。人間なんだな。バンドって人生なんだなと思った。

袴田:我々の場合だと、HAKUTOはボランティアのメンバーに多く関わってもらっているので、全員がフルタイムでコミットしてるわけじゃないんです。ボランティアなので、ある程度、ライフステージに合わせて、抜けたり、入ったりできる組織なんですよね。結婚したり、子供ができたり、一時期離れていく人もいるんですけど、また戻ってきたり。

山口:チームって、それぞれの人生がありますからね。それが重なって、1つのプロジェクトになる。おもしろくて、難しい。

袴田:奧さんと一緒にお風呂入ったりは、あんまりないですかね(笑)
山口:あんまり?(笑)

山口:奧さんとは、どうなんですか。仕事、理解してくれてるとは思うんですけど、袴田さん、忙しすぎて揉めたりとかしないですか?

袴田:今のところ大丈夫ですね。ありがたいことに。理解があるというか、無視されてるというか(笑)。

山口:(笑)。一緒にお風呂入ったりしないですか。

袴田:(笑)。あんまりないですかね。

山口:あんまり?(笑)。ベッドは別?

袴田:ベッドは一緒です。

山口:でも帰り遅くなってきても、布団に入ったら起きてきたりするんですか。

袴田:えーっと、どうだろ。無いですね。寝てますね。向こうも遅く帰ってきて、そこそこ早く起きて出ていくので。

山口:じゃああんまりこう仕事の話とかする時間ないんですね。

袴田:そうですね。まあ週末とかですかね。

山口:週末休みなんですね。僕は日曜ライブだし、平日レコーディング。

袴田:休みないですよね。

山口:休みがもう、ぜ、全然ないんですよ。でも休みないとか、忙しいとかってあんま言いたくじゃないですか。でもね、言いたくなるぐらいひどいんですよ、ビクターが(笑)。

袴田:(笑)。どうやってリラックスする時間つくってるんですか?

山口:僕、釣りが好きなんですよ。もう釣りだけ。釣りと音楽が恋人。いや、どっちが恋人で、どっちが愛人かは分かんないけど。嫁か愛人か。音楽が嫁で、釣りがまあ愛人って感じですかね。たまにこう浮気しにいくみたいな。それなかったらもう大変だったなと思う。袴田さんは、趣味は?

袴田:ないんですよ。

山口:うそ!?

袴田:今、ほぼ100%、HAKUTOになっちゃって、どうしようかなと。

山口:釣りどうですか?行ってみる?

袴田:いいですか?

山口:夜、電話くれれば。

袴田:宇宙、自分は行きたくないんですよ。宇宙酔いするから。
山口:理由それ!?(笑)

袴田:本当ですか?

山口:24時間船出せるんで、行っちゃいましょうよ。

袴田:船、持ってますもんね。

山口:船といっても、漁船すよ。ベトナムの漁師が乗ってるみたいなガタガタな船ですけど、それでも気持ちいいっすよ。

袴田:船酔いは怖いですけど。

山口:小さい船はうねりを感じる前に小さい波を感じるんで、こういう揺れになるんですよ。だから酔わない、いらいらするだけで。

袴田:へー。

山口:宇宙開発が進化するように薬も進化していて、酔わない薬っていうのがあるんですよ。

袴田:いいですね!その薬。「宇宙に行きたくないんですか?」って仕事柄よく聞かれるんですけど、自分は行きたくないんですよ。

山口:え?!なんで!?(笑)

袴田:宇宙酔いするから。

山口:理由それ!?(笑)

袴田:行ったことないんで正確には分かんないんですけど、無重力なので、三半規管が弱いとバランス感覚がなくなって、かなり酔うらしいんです。

山口:行きたくないんだ(笑)

監督:カット!面白い!確認します。

山口:(笑)。大丈夫かな。酔っ払っちゃった。本当に。普通に飲んじゃいました。

店主:お水、どうぞ。

山口:ありがとうございます。

監督:オッケー!

制作部:このカット、オッケーいただきましたので、以上で山口さんと袴田さん、本日の撮影終了になります。

山口:ありがとうございました。

袴田:ありがとうございました。

一同:おつかれさまでした。

TVCM「僕らはみんな宇宙兄弟だ」篇はこちら
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