ライバルチームの素顔

【vol.2】メンバーの95%が科学者とエンジニア。インドの技術者集団「Team Indus」

2016.04.27

世界10か国以上から16の民間チームが参戦する人類初の月面探査レース、「Google Lunar XPRIZE」。HAKUTOだけでなく世界中の対戦チームたちも、月への熱い思いを持ち、レースの先を見据えているヴィジョンを本気で実現するためのエネルギーに満ち溢れている。

1969年にニール・アームストロングが月の大地を踏みしめてから47年。今、人々はなぜ再び月を目指すのか。大学で機械工学を専攻する傍らHAKUTOで活動を行う村井太一が、HAKUTOのライバルであり、共に月の開拓を目指す同志でもあるGoogle Lunar XPRIZE参加チームのメンバーへインタビューを実施。月面探査で世界を変えようとしている人々の素顔に迫った。

第2回目の今回は、インド・バンガロールを拠点としているチーム、「Team Indus」を代表してスリダー・ラマスバン氏、ディプナ・ガンディ氏にインタビューを行った。Team Indusは、Google Lunar XPRIZEの中間賞をイメージングとランダーシステムの二部門について受賞している、優勝候補の一角である。

飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けるスタートアップ大国、インド。そのテクノロジー産業の中心である「インドのシリコンバレー」、バンガロールを拠点とする彼らのチームメンバーは、なんと95%が圧倒的なスキルを持ちあわせる科学者とエンジニアで構成されているという。

スリダー氏はチームのセールスとマーケティングを統括している。世界中の企業で10年以上活躍してきた経験を持つ起業家で、インド国内にも数々のビジネスを展開している。建設、建材やビルオートメーションの分野で実績のある多国籍企業と共に行う分野横断的な業務に精通している。

ディプナ氏は制御チームで軌道計算、着陸船(ランダー)の姿勢制御を担当する女性エンジニア。宇宙機の力学モデルの作成・解析から制御までを手掛け、彼らのランダーを地球から月へと確実に導く役割を担っている。

民間主導で宇宙を目指すことで、インドという国を更なるステージに導くー。今回のGoogle Lunar XPRIZEのみならず、壮大なミッションを掲げる彼らを突き動かす原動力とは一体何なのか。

技術への圧倒的な自信。インド全土を巻き込む一大プロジェクトを。

− なぜTeam Indusは月を目指すのですか?

スリダー氏:そこに月があるからです。

ディプナ氏:最後に人類が月面を歩いてから随分と時間が経っているからだと思っています。

− Team Indusには何名のメンバーがいるのですか?

スリダー氏:私たちは現在85名で活動しています。メンバーは産業界で30~40年以上の実務経験を有する経験豊富なエンジニアと、優秀な若手エンジニアの混合チームで構成されています。理想的な組み合わせですね。

左から、Team Indusディプナ氏、Team Indusスリダー氏、HAKUTO米澤、HAKUTO村井

− チームはどのようなバックグラウンドを持つ人々で構成されているのでしょうか。

スリダー氏:ごく少数を除き、私たちの95%のメンバーは技術開発者ですから、なんといっても技術に絶対的な自信があります。

− HAKUTOは様々な業種のメンバーで構成されているので、95%が技術開発者とは驚きですね。どのような経緯でGoogle Lunar XPRIZEに参加されたのですか?

スリダー氏:数年前、私のオフィスにファウンダーのラウル・ナライアン氏が訪ねてきたことがきっかけです。そのときにGoogle Lunar XPRIZEとは一体何なのかを説明してもらい、どういったものなのか見極めるためだけに参加の手続きを行ったのですが、その後、Google Lunar XPRIZEの価値を理解し、インドにとってどんな意味を持つのか、私たちの周囲のコミュニティにもたらすものの意義を理解しました。そして個人の努力から始まったこの試みは、チームでの努力へと拡大し、インド全体を巻き込む事業にまで成長させようとしています。今ではインド全域から資金を調達しています。

− Team Indusにとって他のGoogle Lunar XPRIZE参加チームに対する優位性は何だとお考えですか?

スリダー氏:他チームの活動について意見することはできないですね。なぜなら、私たちを含めたすべてのチームが、それぞれの長所を持っているからです。「Team Indus」に関しては、ディプナさんのように深い知識と経験に裏付けされた「世界一の技術者集団」であること、そしてイノベーションを起こすエコシステムがあることが最も大きな長所だと思います。そして私たちは来年、一番最初に月に行きますよ。私たちはローバー以外にもクラウドソーシングした他の様々な機器をペイロードに搭載して月へ向かう予定です。それが私たちの特徴と言えるでしょう。

− Google Lunar XPRIZE後にはどのようなヴィジョンを見据えていらっしゃいますか?

スリダー氏:私たちはチーム、投資家、そして自分たちの周囲のコミュニティに対し、Google Lunar XPRIZEを超えて活動していく義務があります。Google Lunar XPRIZEが2017年で終わっても、私たちはこの先何百年も続いていくような次世代の航空宇宙企業を目指し、惑星間の探査、衛星開発など多くの素晴らしい開発を引き続き行っていきます。私たちは、Google Lunar XPRIZEに取り組む中で獲得したクールなテクノロジーで、たくさんの刺激的なことに取り組んでいます。

民間宇宙開発史上初の挑戦に、一人でも多くの声援を。

− HAKUTOについて、率直な意見を聞かせてください。

スリダー氏:HAKUTOは本当に大好きなチームです。できれば私たちと一緒にチームになってくれたらいいなと思っているくらいです。日本はいつもインドのインフラ事業の施工や投資をしてくれますし、私たちは日本をとても愛しています。また、Team IndusとHAKUTOのメンバーは機会があるごとに会っていますし、できることならチームとして共にGoogle Lunar XPRIZEを戦いたいと思っていますね。

− 日本の皆さんへメッセージをお願いします。

スリダー氏:HAKUTOをぜひ応援してあげてください。Google Lunar XPRIZEにエントリーしている全チームがそうであるように、彼らがやっていることは明らかに困難な挑戦です。そのため、私たちもインドからの声援とサポートが必要であるように、HAKUTOも日本の声援とサポートを必要としています。これは尋常じゃない努力が必要なプロジェクトであり、誰一人として、個人でこのミッションを達成することは出来ません。たくさんの人が集まったチームの力が必要ですから、ぜひHAKUTOを応援してほしいです。それが私から伝えたいメッセージのすべてです。

− 最後にHAKUTOへのメッセージもお願いできますでしょうか。

スリダー氏:私たちと一緒に月に行きましょう。私たちのロケットとランダーで月に運びますよ。

いかがだっただろうか。Team Indusのメンバー彼らは非常にアグレッシブで、技術者集団としての高いプライドを誇りに持って取り組んでいる。Google Lunar XPRIZEを超えて何百年も続いていく未来を見据えるTeam Indus。今、私たちは宇宙大航海時代の幕開けに立ち会おうとしているのだ。

PROFILE

Team HAKUTO 村井太一 / TAICHI MURAI

東京理科大学4年。大学で機械工学を専攻する傍ら、2015年春よりHAKUTOプロボノメンバーとして活動開始。2016年春よりispaceのインターンとしてもHAKUTOの活動をサポート中。

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