イベントレポート

4000名超が来場。アジア最大級のスタートアップの祭典『Slush Asia』にHAKUTOも参加

2016.06.22

2016年5月13日、14日に幕張メッセで行われた、アジア最大級のスタートアップイベント『Slush Asia(スラッシュアジア)』。4,000名が参加した同イベントにHAKUTOもスタートアップとして参加し、高い注目を集めた。今回のレポートでは、HAKUTO/ispace代表袴田氏が宇宙ベンチャー企業の代表者とともにステージ上で語った宇宙開発への熱意、そしてローバーの操縦体験などでも好評だったHAKUTOブースの様子をお伝えする。

日本で一番熱いスタートアップの祭典『Slush Asia』にHAKUTOも参加

『Slush Asia』は、フィンランドで生まれたベンチャー企業のための祭典『Slush』のアジア版。日本では昨年に続き2回目の開催となり、会場はエネルギーに満ちた若者や起業家、投資家、企業関係者、ジャーナリストなど、それぞれにジャンル分けされた入場パスを持つ人々であふれていた。

レーザービームで彩られ、熱気あふれる『Slush Asia』の会場

「ベンチャー企業の祭典」といっても、『Slush Asia』に堅苦しい雰囲気はまったくなく、会場には提灯が灯され、アルコールやフードを提供する屋台、そしてDJブースが企業ブースとともに連なっていた。また、レーザービームとMCによる演出がエネルギッシュなステージでは、総勢60名もの時代を代表するリーダーたちが続々と英語でスピーチを行っていた。

会場ではフードやアルコールの販売も

「宇宙をビジネスの対象として捉えていない人も多いと思う。今日はその考え方を変えてみせたい」(袴田)

HAKUTOの代表袴田氏は、「Keynote Stage」という会場のもっとも大きなステージで、民間小型衛星開発ベンチャーのアクセルスペースの中村氏、宇宙ゴミ除去ベンチャーのアストロスケールの伊藤氏の三名とともに講演を行った。

「宇宙をビジネスの対象として捉えていない人も多いと思う。今日はその考え方を変えてみせたい」。袴田氏は、ステージに登壇するやこう切り出した。実際、それぞれの宇宙ベンチャー3社は、産業構造に革命を起こす存在である「ベンチャー」そのものを体現しており、観客の熱気を誘っていた。

左からアクセルスペース中村氏、アストロスケール伊藤氏、HAKUTO袴田氏

民間の小型衛星「マイクロサテライト」を開発するアクセルスペース代表の中村友哉氏によれば、宇宙開発をビジネス化していくには、「農業、林業、マッピング、不動産など、他の産業と宇宙開発をかけあわせることが大切」とのこと。

実際にアクセルスペースは衛星写真の提供をはじめ、世界最大の気象サービス「ウェザーニュース」を事業パートナーに迎え、マイクロサテライトを観測に活用するなど、北極の保安情報の収集にも役立てているそうだ。

一方、宇宙に散らばっているスペースデブリ(宇宙ゴミ)問題に取り組んでいるアストロスケールの伊藤美樹氏は、ずばり「コストダウン」が鍵だと語る。

伊藤:アメリカの民間宇宙ロケットベンチャー、Space Xは、使わなくなったロケットを再利用しているんです。アストロスケールでも、こういった廃ロケット再利用の仕組みを活用したいと考えています。

「利益を生む仕組み作り」「コストダウン」といった、ビジネスとしての重要な要素が宇宙ベンチャーでも当たり前のように語られている。これは、宇宙ビジネスがもはや夢物語ではなく、現実のものとして動き出しているということを物語っている。

10年前は「夢」でしかなかった宇宙ベンチャーは、これからの10年でどう変化する?

「10年前は、宇宙スタートアップなんて夢みたいな話だった」と述べる袴田氏。しかし、現在では欧米、アジア、日本でも宇宙ベンチャーが続々と立ち上がり、世界的な起業トレンドの一つにもなっている。

HAKUTO袴田氏

例えば、セッションでも伊藤氏が紹介したアメリカの宇宙ベンチャーSpace Xでは、GoogleやYahoo!、Facebook出身のエンジニアが宇宙機用OSの開発に従事しているそうだ。この流れは、宇宙産業がハードウェアだけでなく、ソフトウェアエンジニアにとっても魅力ある仕事として存在感を放ちはじめていることを現している。

また、資金面でもアクセスルペース、アストロスケール、HAKUTOともに順調で、宇宙ベンチャーには追い風が吹いている。この勢いを保ち続ければ、さらに10年後、宇宙開発はより身近なものになっていくだろう。

なかでも袴田氏は、いま取り組んでいるHAKUTOプロジェクトの知見を活かし、月面の氷を活用することで、宇宙への長距離輸送の技術を高めたいと考えているそうだ。

袴田:月面の氷を宇宙船に燃料として供給できれば、燃料の輸送コストを押さえることができるのではないかと考えています。

もしもHAKUTO/ispaceがベンチャーという立場から、宇宙の輸送革命を起こすことができれば、これは歴史的な瞬間となるだろう。

Q&Aセッションの様子

月面探査用ローバーの操縦体験で注目を集めたHAKUTOブース

『Slush Asia』の会場にはステージだけでなく、57社以上のベンチャー企業によるブースも並んだ。HAKUTOは両日ブースを展示し、月面レース用4輪ローバーの試作機、月面の縦孔探査に使われる2輪ローバーの試作機の展示や、オリジナルグッズの販売、サポーターズクラブの入会申込などを行なった。国内外から集まった個性豊かなベンチャーのなかでも、月に見立てたブースと、参加者がタブレットで操縦できる4輪ローバーの姿はひときわ注目を集めていたようだ。

操縦体験も行われた4輪ローバー

4輪ローバーを操作するタブレットには、月面からの映像配信イメージと操縦コマンドが表示され、タッチすると前後左右にローバーが動きだす。実際に月を走る予定の4輪ローバーが、自分の操縦によって障害物を避けながら走る様子を見ていると、思わず興奮してしまった。

タブレットで操縦を体験

宇宙ベンチャーとしてのHAKUTOの注目度を感じられたイベント

アジア最大級のスタートアップイベント『Slush Asia』の熱気は、あらためてベンチャー企業への世界的な関心の高まりを感じさせた。

そしてHAKUTOブースやセッションで、目を輝かした参加者がメンバーに熱心に質問する姿からは、宇宙開発ベンチャーispace、そしてHAKUTOへの期待度の高さを伺わせた。民間だからこそ、あらゆる施策にチャレンジし、従来できなかったことを叶えていく。これはHAKUTOのビジョンである『「夢みたい」を現実に。』が現していることではないだろうか。

今後も、さまざまなイベントやコンテンツを通じて、au × HAKUTO MOON CHALLENGEを応援するムードが盛り上がりそうだ。

PROFILE

菅間 碧 / MIDORI SUGAMA

1992年生まれ。学生時代にアメリカでジャーナリズムを専攻したことをきっかけに、編集・ライターの世界へ。国内、海外のカルチャーやテクノロジーなど、ギークな話題に夢中。

撮影
宮本芳輔

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