サカナクション

音楽と宇宙開発を「ぼくらの世代」でアップデートしたい サカナクション・山口一郎×袴田武史

2016.08.29

サカナクション 山口一郎

1980年生まれ。北海道出身。サカナクションのボーカリスト兼ギタリスト。2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。日本語を巧みに扱う歌詞とフォーキーなメロディーを土台にロックバンドフォーマットからクラブミュージックアプローチまで様々な表現方法を持つ5人組のバンドとして活動を行う。

TEAM HAKUTO代表 袴田武史

1979年生まれ。米ジョージア工科大学大学院で修士号(Aerospace Engineering)を取得後、経営コンサルティング会社を経て、2010年から民間月面ロボット探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本唯一のチーム「HAKUTO」を率い参戦中。運営母体であるispace社のCEOとして、月面資源開発を展開している。

世界初の民間による月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一挑戦するチーム「HAKUTO」。この壮大なプロジェクト「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」のアンバサダーにサカナクションが就任し、同プロジェクトのための応援ソングを制作する。共に団塊ジュニア世代だという、サカナクションの山口一郎とTEAM HAKUTO代表の袴田武史。新たなやり方で音楽と宇宙開発をアップデートしようとする二人が思い描く未来のビジョンと、その背景にある想いを聞いた。

古いものを打ち壊して、新しい未来を切り開く「孤高」同士として、HAKUTOとサカナクションは何かできるんじゃないか。(山口)

− 山口さんは「au × HAKUTO MOON CHALLENGE」の取り組みを知ったとき、どのように感じましたか?

山口:サカナクションは来年でデビュー10周年なんですけど、つらかった時期に「孤独だ」って、母に相談したことがあるんですよ。そしたら「それは孤独じゃなくて、孤高なのよ」「戦ってるからこそ、孤独になる。でも、戦ってる人は、孤高なの」って言われたことがあって。今回アンバサダーになるにあたって、HAKUTOのことを調べたり、袴田さんの本を読んだりしたときも、すごく戦っていらっしゃるなって感じて、この母の言葉が頭をよぎったんです。袴田さんたちって、いまものすごく順調に見えるけれど、今日ここまで来るのにかなり大変な思いをされていますよね。

袴田:孤高ですか……かっこいいですね(笑)。2009年にHAKUTOを立ち上げたんですが、やっぱりお金を集めることだったり、社会に活動を知ってもらうことが一番大変でした。ただ、戦うといえば、日本のあらゆる分野で起こっていることだと思いますが、宇宙業界も60代以上の先輩方と国が中心になって築き上げた世界なので、仕事のやり方やシステムが決まっている部分も多いんです。そんななかで、民間が宇宙開発をやるためには、当然、何かしら方法を変えないとやっていけない。そんなチャレンジをずっと続けていると感じます。だから、このやり方が正しかったと証明するためにも、なんとしてもHAKUTOを成功させなければいけない。「Google Lunar XPRIZE」で勝つことでその先に宇宙産業の大きな可能性が広がってくると思うので。

左から、袴田武史、山口一郎

山口:音楽業界も一緒です。ぼくも袴田さんと1歳違いの団塊ジュニア世代なんですけど、古いものを打ち壊して、新しい未来を切り開くという意味で、HAKUTOとサカナクションは重なり合う部分があると感じているんです。孤高同士として、何か面白いできるんじゃないかと思いました。

応援ソングのイメージは、合唱コンクールとクラブを混ぜ合わせて、そこにぼくらが思う宇宙感を組み合わせた感じ。(山口)

− サカナクションは、現在「au × HAKUTO MOON CHALLENGE」オリジナル応援ソングの制作を担当されているわけですが、実際の楽曲はどのようなイメージで作られたのでしょうか?

山口:先日HAKUTOのメンバーとお会いして、いろいろお話をさせていただいたんですけど、それぞれいろんな価値観を持っていらっしゃる方たちが出会って、結びついて、宇宙や未来に向かっている。それに対して、わかりやすく「頑張ろう」みたいなメッセージを音楽にするのは面白くないと思って、みんなで歌える、楽しめる、踊れる曲にしたいと思いました。『We Are The World』(マイケル・ジャクソンらが参加、1985年にリリースされた世界的大ヒット曲)じゃないですけど、このプロジェクトに関わる人たち全員で歌えたらいいなって思っていて、例えば、いま宇宙に行かれてる日本人の宇宙飛行士の方にも歌っていただいたりとか。なので、イメージとしては合唱コンクールとクラブミュージックを混ぜ合わせて、そこにぼくらが思う宇宙感を組み合わせた感じですね(笑)。

− 袴田さんは、制作中の曲を聴かれてどんな印象を受けましたか?

袴田:どんな曲ができるのか全然予想できなかったんですけど、かなりダンス系の曲で、ノリノリでいいなって思いました(笑)。ただ、自分としてはちょっと意外でもあって、普通は「宇宙」っていうと、もっと壮大なイメージだったりすると思うんです。

− 『スター・ウォーズ』のテーマ曲みたいな?

袴田:そうそう、ぼくのなかで『スター・ウォーズ』のイメージが強すぎるだけかもしれないですけど(笑)。ただ、自分としてはこれから宇宙は人間が生活する場所になっていくと思っていて、特別なシチュエーションとして扱うのではなく、もっと身近なものとして扱いたいと思っていたので、日常のなかにスッと入ってくるような今回の曲は、自分の理想にすごくピッタリでしたね。

団塊ジュニア世代の二人が意気投合。「音楽」も「宇宙」も、1つの業界だけで集まっているうちは、イノベーションは起こらない
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